犯罪被害

1.はじめに~犯罪の被害に遭った方へ

ご自身が犯罪の被害に遭ったり、ご親族が犯罪の被害に遭ったとき、誰もが、深い悲しみ、喪失感、憤りなどの感情を持ちます。その感情は時間が経ったからといって薄れるものではありません。

性犯罪被害を受けた場合には、社会の偏見にさらされるため、より羞恥心や屈辱感、孤立感を持ちやすいのではないかと思います。

また、被害にあった方は、今後、加害者に対する刑事手続きがどうなるのか、加害者に損害賠償できるのか等、ご不安な点が多々あるのではないかと拝察いたします。

そのようなとき、安心してご相談いただけるのが、犯罪被害者支援に携わる弁護士です。

2.心情に関する意見陳述、被害者参加、損害賠償命令について

被害者支援のための法的な制度のうち、心情に関する意見陳述、被害者参加、損害賠償命令を紹介します。

その他の制度については、ご相談の際に必要に応じてご説明申し上げます。

(1)心情に関する意見陳述

  • 被害者・遺族は、裁判所の許可を得れば、自身の心情を裁判所で述べることができます。通常は、心情をつづった文章を読み上げる形をとります。ご自身で読み上げるのが基本ですが、ご出席が難しい場合等には、裁判所の判断により他の方(裁判官、検事等)が代わって読むこともあります。

(2)被害者参加

  • 一定の犯罪の被害者・遺族が裁判に一定限度で参加できる制度です。対象となる犯罪は、①故意の犯罪により人を死傷させた罪、②(準)強制わいせつ、(準)強制性交、③逮捕・監禁、④略取・誘拐・人身売買、⑤業務上過失致死傷・重過失致死傷、⑥①から⑤のこれらの犯罪行為を含む罪、⑦過失運転致死傷等、⑧上記①から⑥の未遂罪です。参加するためには、裁判所の許可が必要です。被害者参加制度によって被害者・遺族にできることは、①在席(傍聴席ではなく、検察官の隣りや後ろに座る)、②検察官に意見を言う、③証人尋問(ただし、証言の信用性を争う場合のみ)、④被告人質問、⑤意見陳述(検察官の論告求刑と同趣旨のもの)です。 また、このようなことを行うため、刑事事件の記録を一定限度で閲覧(弁護士がついている場合は謄写も)できます。

(3)損害賠償命令

  • 刑事裁判を担当した裁判所に、引き続き損害賠償について審理していただき、決定を出してもらう制度です。対象となる犯罪は、被害者参加制度の対象犯罪と共通していますが、業務上過失致死傷罪及び重過失致死傷罪、過失運転致死傷罪といった過失犯は対象となっていません。

3.ご相談事例

親族を交通事故で亡くしました。運転手は警察や検察の取り調べで、自分の罪を軽くするようなことばかり言っているようです。運転手の刑事裁判に関与することはできますか。

性犯罪の被害に遭いました。警察から、「加害者側の弁護士が、あなたに連絡したいと言っている」と言われましたが、加害者側の弁護士と直接話しをするのは不安です。

犯罪の被害に遭って、仕事に行けなくなり、経済的にも大きな損失を受けました。加害者にその分を請求することはできますか。

4.解決事例

交通事故で御親族を失ったご家族からご依頼を受け、被害者参加弁護士としてご家族とともに裁判に出頭し、ご家族に様々なサポートをしました。

性犯罪の被害を受けた方からご依頼を受け、被害を受けた方の名前や住所を秘匿したままで加害者側の弁護士と話し合いをしました。

犯罪の加害者に対し、損害賠償命令の申し立てをし、決定が出てから差し押さえをして一定の金額を回収しました。

5.弁護士費用

被害者支援に関する弁護士費用は、弁護士費用のページ記載の通りです。事件処理の見通しなどを考慮し、ご依頼者と協議の上で、増額・減額することもあります。また、ご依頼者の資力などを考慮し、着手金の分割払いなどのご相談にも応じています。

6.弁護士から一言

ご自身が犯罪の被害を受け、あるいは御親族が犯罪の被害を受けた場合、様々な困難を抱えられると思います。弁護士は、抱えておられる困難のうち、一部かもしれませんが、法的な問題についてはサポートができます。また、被害を受けた方や、御親族の方の中には、辛い思いを誰にも打ち明けられずに悩んでおられる方も多いのではないかと拝察いたします。この点、弁護士は守秘義務を負っていますので御相談内容が他に漏れることはありませんし、御相談の際には被害を受けた方等のご心情について十分配慮いたします。ご相談だけでも、ご利用いただければ幸いです。