外国人・国籍

1.外国人

日本に在住する外国籍の方にとって最大の問題は、在留資格です。在留資格がなくなってしまうと、警察や入国管理局(入管)に身柄を拘束され、本国に強制送還されてしまいます。また、名前や身分事項を偽って来日し在留資格を取得した場合や、認められた範囲を超えて就労した場合なども、そのことが発覚すれば在留資格を失い強制送還となります。在留資格の付与やはく奪は入管が広い裁量を持って判断をしていますが、一定の内部基準も存在しているので、その内部基準をしっかり理解して、適切な資料を提示することが必要です。また、入管と対立することは不利になると考えられがちですが、時には毅然と主張をすることによって、本人の言い分が通る場合もあります。

また、日本に在住する外国籍の方は、婚姻・離婚などの家事手続やその他の民事手続において、国際裁判管轄(どの国の裁判所で手続を行うか)や適用となる法律(準拠法)が、日本人とは異なる場合があります。日本で手続ができる場合でも、日本法が適用とならないケースでは、適用となる国の法律を調べて対応する必要があります。

2.国籍

どのような場合に日本国籍を取得し、あるいは失うか、は国籍法という法律に定められています。多くの人にとって自分の日本国籍を意識する機会はあまりありませんが、それだけに国籍に関する知識はあまり広がっていません。しかし、知識を欠いた行為によって思いもよらず日本国籍を失い、外国人と扱われることになるばかりか、強制退去処分の対象となることもあります。

3.ご相談事例

ご相談を類型的にまとめたものです。具体的な事情は事案により様々ですので、一度ご相談下さい。

在留資格の変更や更新の申請を弁護士に依頼することはできるか。

在留資格を「永住者」に変更するための申請をしたが不許可になった。再申請できるか。その場合どのようなことに注意すればよいか。

在留資格の変更・更新が認められず、3ヶ月以内に日本を出国するように言われた。日本人の家族(配偶者・子ども)がいるので帰国できない。どうしたらよいか。

日本人配偶者との離婚協議中に在留期間が終了してしまった。入管から強制送還すると言われているが、せめて離婚協議が終わるまで日本にいる方法はあるか。

以前、オーバーステイで強制送還された配偶者を日本に呼び寄せたい。

外国人母の子だが、日本人父から認知をしてもらうと日本国籍が取れると聞いた。どのようにすればよいのか。

日本人と外国人の夫婦の子だが、外国で生まれ、日本国籍を失ったと言われた。本当か。本当だとすると、どのようにすれば日本国籍を取ることができるか。

外国人が日本人妻と離婚するとき、離婚や子どもの親権はどこの国の法律で決まるのか。

4.解決事例

オーバーステイのまま20年以上日本に在住していた外国人について、在留特別許可によって「定住者」の在留資格を獲得し、その後「永住者」への在留資格の変更も得ました。

「人文知識・国際業務」の在留資格を有し、日本企業に就職している外国人の帰化申請の依頼を受任して援助し、国際業務に携わっており海外出張が多いために日本滞在期間が少ないという事情にもかかわらず帰化の許可を得ました。

外国に帰化したために国籍法11条1項によって日本国籍を喪失した元日本人が、そのことを知らずに日本の旅券で帰国(入国)した事案で、日本国籍喪失届及び在留特別許可の手続を援助しました。

国籍法3条1項の違憲判決を獲得しました(2008年6月4日最高裁判所大法廷判決)。

上記の最高裁判決を受けて、非正規在留外国人や、海外に居住する外国人について、日本人父から認知を得て、在留特別許可や日本国籍を取得しました。

刑事事件で実刑判決を受けた外国人について、刑の執行を終えたあとに在留特別許可によって「日本人の配偶者等」の在留資格を得ました。

日本人の婚外子を養育していた非正規滞在の外国人母が、日本人父に子を奪われ、その際に警察に助けを求めたところ、不法滞在を理由に逮捕・勾留された事案において、子の引渡しを求める保全処分の審判を取得し、子を取り戻すとともに、外国人母に「定住者」の在留特別許可を取得しました。

外国在住の外国と日本の二重国籍の子(未成年)について、日本の家庭裁判所で進行中の、死亡した日本人父の遺産に関する調停における、特別代理人を選任するための管轄が、明文では子の住所地のある外国側であるところ、日本の裁判所に緊急管轄があることを認める審判を得ました(詳細は大樹第64号(2020年))。

5.弁護士費用

弁護士費用の詳細は、弁護士費用のページをご参照ください。

6.弁護士より一言

一言で、外国人と言っても、特別永住者から観光客までその立場、日本との関わり方は様々です。しかし、外国籍というだけで、日本籍の方とは異なり、種々の局面で不安定な立場に置かれ、複雑な法律問題に直面します。TOKYO大樹法律事務所は、長年にわたり、複数の弁護士が外国人の法律問題に取り組んできました。英語で対応する弁護士も在籍しており、また各種外国人支援団体や複数の言語の通訳とも連携しています。法律問題でお悩みの外国人の方や、外国人を相手とする法律紛争でお困りの方はお気軽にご相談ください。ウェブサイトのお問い合わせフォームからの問い合わせは、英語でも対応しています。